ブログ
2025年06月26日
2023年からの猛暑で、企業にとって熱中症対策は他人事ではなくなりました。そして2025年、ついに職場での熱中症対策が法的義務として始まりました。
従来の努力義務とは異なり、対策を怠れば罰則の対象となっています。
本記事では、法改正の背景やルール、すぐに実践できる5つの対策をわかりやすく解説します。
重要なWBGT(暑さ指数)や罰則の内容、通勤リスクを減らすリモートワークの導入もご紹介。
現場対策と働き方改革の両面から、万全の備えを整えましょう。
2025年6月から、事業者は労働者の熱中症を予防するために必要な措置を講じることが法的に義務付けられました。
これは単なる努力義務ではなく、具体的な基準と罰則が設けられた法的義務です。
これまでの対策が通用しなくなる可能性もあり、すべての企業にとって早急に対応すべき経営課題といえます。
職場の熱中症対策が義務化される背景には、気候変動による猛暑の影響で労働災害が深刻化しているという現実があります。
近年では毎年1,000人以上が熱中症で死傷しており、建設・運送・屋内作業などあらゆる業種でリスクが高まっています。
企業には「安全配慮義務」が法律で定められており、熱中症は未然に防げる災害である以上、国としても強制力ある対策を求めざるを得ない状況です。
この流れから、2025年にはこれまでの努力義務から「義務化」へと舵が切られました。
企業は法的責任を果たすためにも、熱中症対策を重要な経営課題として真剣に取り組む必要があります。
「改正労働安全衛生規則」は、熱中症対策を企業の法的義務として明記する重要な改正です。
これまでは高温作業に限られていた対策が、今回はより幅広い業務や職場環境にも適用されています。
ポイントは、対応が「努力」ではなく「義務」として明確に位置づけられる点です。
企業は対象となる業務を洗い出し、早めに自社の状況に合った対応策を検討することが重要です。
WBGT(湿球黒球温度)は、熱中症リスクを正しく評価するための指標で、気温だけでなく「湿度」「日射」「輻射熱」も考慮して算出されます。
同じ気温でも湿度や日差しによって体への負担は変わるため、実際の体感に近い指標としてWBGTは重視されています。
法改正により、WBGT値に応じて作業の中止や休憩時間の延長などが義務付けられる見込みです。
企業はまず職場ごとのWBGTを「見える化」し、その数値に基づいた対応フローを整備する必要があります。
熱中症対策が法的義務になることで、違反した場合には罰則が科される可能性が出てきます。
労働安全衛生法では、安全管理義務に違反した事業者に対し、「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」といった刑事罰が明記されています。
また、熱中症対策の未実施もこの罰則の対象となるのです。
対策を怠って事故が起きた場合は、安全配慮義務違反として企業の責任が問われ、社会的信用にも深刻な影響を及ぼします。
法令遵守の観点からも、早急な準備が必要です。
法改正に向けて、事業者は具体的にどのような準備をすべきなのでしょうか。
基本となるのは、WBGT値の管理体制を整え、作業環境・作業方法、そして労働者自身の健康状態を適切にマネジメントすることです。
ここでは、厚生労働省のガイドラインなどに基づき、事業者が直ちに取り組むべき基本的な対策を5つのポイントに分けて解説します。
自社の現状と照らし合わせ、必要な対策をリストアップしていきましょう。
熱中症対策の第一歩は、職場の暑さを「数値」で把握することです。
WBGT値を正確に測定し、それに基づいて客観的な判断ができる体制を整えましょう。
熱中症予防情報サイトも参考に、測定や情報共有の仕組みを作ることが重要です。
測定には専用の機器を使うのが理想ですが、難しい場合は熱中症予防情報サイトから地域のWBGTを確認する方法もあります。
重要なのは以下の2点です。
・暑さの見える化
・日々の状況に応じた意思決定の仕組み
管理責任者を任命し、計測や周知、作業調整の役割を明確にすることも大切です。
朝礼や掲示板、社内チャットで毎日のWBGT値と注意事項を全員に共有する体制を整えましょう。
WBGT値を下げるには、作業場所そのものを涼しく保つ工夫が必要です。
特に屋外や空調の効きにくい場所では、冷房設備の導入が効果的です。
スポットクーラーやミストファン、サーキュレーターなどを活用すれば、体感温度を下げることができます。
遮熱シートやカーテンの設置で、日差しや輻射熱の侵入も抑えられます。
冷房の効いた休憩室や、日陰と送風機を備えた「クールダウンスペース」を用意することも有効です。
従業員が安心して体を休められる場所があるだけで、熱中症のリスクは大きく減らせます。
暑さに対する対策は、作業の「やり方」を見直すことでも大きく変わります。
特に高いWBGT値が予測される日は、作業スケジュールや休憩の取り方を工夫する必要があります。
例えば、気温が上がる11時〜15時の時間帯を避け、早朝や夕方に作業を集中させる方法が効果的です。
「30分作業+30分休憩」のようなワーク・レスト・サイクルを導入することで、体への熱の蓄積を防ぐことができます。
さらに、単独作業は熱中症を早期発見できないリスクがあるため、複数人での作業や定期的な巡回・声かけなども取り入れると安全性が高まります。
作業の安全性を高めるために、現場の動線や人員配置の見直しも検討しましょう。
どれだけ環境を整えても、最終的に熱中症を防ぐカギは「人」にあります。
従業員一人ひとりが自分の体調に気づき、適切に対処できる状態をつくることが重要です。
まずは「のどが渇く前」に水分や塩分をこまめに補給するよう促しましょう。
職場にスポーツドリンクや塩飴を常備し、誰でも自由に取れる環境を整えると効果的です。
また、作業前に睡眠不足や体調不良がないかを確認する「セルフチェック」を習慣化すると、リスクの早期発見に役立ちます。
特に、新人や持病のある従業員には声かけを丁寧に行い、無理をさせない環境を整えましょう。
熱中症対策を機能させるには、従業員自身が正しく知識を持ち、適切に行動できるようにすることが不可欠です。
制度が整っていても、現場での理解と実践がなければ効果は得られません。
まず、熱中症の初期症状(めまい・頭痛・吐き気など)や、応急処置の基本(涼しい場所へ移動・衣服を緩める・水分補給など)を、
定期的な研修やマニュアルでしっかり教育しましょう。
「異変に気づいたらすぐ声をかける」、「救急車を呼ぶべきか迷わない」といった、チーム全体での意識づけも欠かせません。
知識と行動が一致すれば、現場での重大事故も未然に防げます。
スポットクーラーの設置や休憩時間の確保といった物理的な対策は必須です。
しかし、それだけでは根本的な解決に至らないケースも少なくありません。
そのため、今後の熱中症対策として注目されているのが「リモートワーク」や「ハイブリッドワーク」の導入です。
ハイブリッドワークとは、オフィスワークとリモートワークとを柔軟に組み合わせた働き方です。
生産性が向上するメリットについては、こちらの記事をご覧ください。
ハイブリッドワークを実践している企業の成功事例については、こちらの記事で解説しています。
暑い日は移動を避けるため在宅勤務、過ごしやすい日は出社するなど、
柔軟な働き方は従業員と企業の双方にメリットがあります。
どれだけオフィス内の環境を整えても、従業員の安全を脅かす最大のリスクの一つが「通勤」です。
特に猛暑日は、徒歩や公共交通機関での移動が想像以上に体力を奪います。
満員電車や日差しの強いアスファルトの上を歩くことは、熱中症のリスクを大幅に高めます。
出社時点で疲弊していれば、業務効率も低下しますし、帰宅時にも同様のリスクが伴います。
「通勤によるストレス」をどう軽減するかは、安全配慮義務を果たすうえで企業が重視すべき課題です。
そこで有効なのが、リモートワークやハイブリッドワークという働き方の導入です。
リモートワークは、暑さから従業員を守る「最も直接的な対策」といえます。
通勤が不要になるだけで、熱中症リスクの多くをカットできるからです。
自宅など空調が整った場所で働ければ、体力の消耗や水分不足を避けられ、心身の健康も保ちやすくなります。
結果として、集中力が保たれ業務効率も向上します。
また、出社人数が減ることで冷房の負担や電気代も削減でき、経費の節約にもなります。
健康とコストの両方に配慮できるリモートワークは、これからの熱中症対策において欠かせない選択肢です。
リモートワークを熱中症対策として導入する際、多くの企業が悩むのが「会議のやりづらさ」や「チームの一体感の希薄さ」です。
物理的に離れて働く環境では、意思疎通や共同作業に支障を感じることも少なくありません。
そうした課題を解決するのが、ナイスモバイルが提供する次世代型インタラクティブホワイトボード(電子黒板)MAXHUB「All in One Meeting Board」です。
ミーティングボードはカメラ・マイク・スピーカー・Windows OSを一体化した多機能デバイスで、
オフィスとリモート間のスムーズなコミュニケーションを可能にします。
発言者を自動で追尾する高性能カメラ、クリアな音声を届けるマイク、そして指や付属のタッチペンで書き込めるホワイトボード機能を搭載。
会議中の画面共有や資料への書き込みもでき、遠隔でも対面と変わらない議論が可能です。
建設・製造業から教育現場まで、幅広い導入実績があります。
MAXHUB「All in One Meeting Board」は、単なる会議ツールではなく、
熱中症対策と働き方改革を同時に実現する「会議DXの第一歩」として、多くの企業の課題解決を力強く後押しします。
2025年から始まる熱中症対策の義務化は、すべての企業にとって見過ごせない重要な課題です。
WBGT値の管理や職場環境の整備といった基本対策に加え、罰則リスクについての理解も欠かせません。
この義務化を「負担」と捉えるのではなく、安全・健康、そして生産性向上のチャンスと前向きに捉える姿勢が重要です。
リモートワークの導入は、通勤によるリスクを減らし、対策の実効性を高める大きな武器になります。
そして、ナイスモバイルのミーティングボードは、働き方改革と熱中症対策を同時に叶える心強いパートナーです。
法令順守と従業員の健康を両立させる取り組みとして、今こそ行動を始めましょう。