
ミーティングボードの導入により、
生徒の発表や情報共有、オンラインでの外部との
接続がスムーズになり、共創空間としての
可能性がさらに広がりました。
「VIVISTOP NITOBE」は、特定非営利活動法人VIVITA JAPAN(以下、VIVITAという)と新渡戸文化学園が共同して作った共創空間(施設)です。
VIVITAは「今を生きる誰もが、よりよい未来に向けて行動できる社会」を目指すコミュニティです。
2025年現在、国内に5か所のVIVISTOPがあります。それぞれのVIVISTOPは異なる団体が独立して運営しており、「VIVISTOP NITOBE」もそのうちの一つです。
平日は本校の中高生が主に利用しています。
情報や美術、図工の授業だけではなく、社会や英語など教科を横断して、授業と場所をコラボレーションさせながら、新しい授業づくりに取り組んでいます。
また、中高生は水曜日を丸々「クロスカリキュラム」という「自分の中から生まれる問いを、共同しながら探究していく」ことを目的とした
探究学習に充てるのですが、その時間にも利用されています。
さらに土曜日の午後は、VIVITAの会員である地域の子どもたちとその保護者も本施設を利用でき、
所属に関係なく創ってみたいモノ・挑戦してみたいコトから活動を生み出しています。
共創空間といいつつも、必ずしもモノづくりをしなければならないわけではなく、ギターを弾いてみたり、談笑したり、昼寝をしたり…
一人ひとりの“居場所”として機能していることが特徴ですね。

VIVISTOP NITOBEでは、一般的なモニターやプロジェクターのみを使用していました。
授業や探究活動で資料を投影する際、HDMIケーブルでの有線接続が中心でしたが、
最近ではOSアップデートの影響などで、うまく接続できない端末が出てきていることが課題でした。
デザインに関する授業では、町の中で見つけたデザインを撮影し、ポスターセッション形式で共有を行っていましたが、
接続トラブルが発生すると授業の進行に支障をきたしてしまうことも。
また、オンラインで外部とのミーティングを行う際、個々のPCで接続していたため、
空間全体の様子を映すことができず、せっかくの空間の面白さを上手く伝えられていませんでした。
加えて、ハイブリッド形式の授業や探究学習も実施していましたが、画面の切り替えの煩雑さや空気感の伝えにくさから
「非常に難しい、あまりやりたくない」というのが正直な気持ちでしたね。
しかし、共同プロジェクトや他拠点との連携の際は、ハイブリッド形式が適した場面も多く、よりよい環境構築を模索していました。

「VIVISTOP NITOBE」の運営に携わる教員の一人が、明治大学 国際日本学部 岸先生と両者学生の頃からつながりがあり、
お互い教員になってから岸先生を本校に招いて当施設をご紹介しました。
その際に教員の一人と岸先生が意気投合し、明治大学 国際日本学部 岸ゼミが取り組む
「アートベース・リサーチ」(アートの制作や表現を通して学びや研究を行う方法)の実践の場として、当施設を利用しています。
また、共同研究にも取り組んでいて、当施設のような環境が、生徒の探究学習にどう影響を与えるかを一緒にインタビューしながら紐解いています。
そういった過程の中で、岸先生に【全国の学校にMAXHUB「All in One Meeting Board V6 CFシリーズ」100台寄贈キャンペーン】を紹介いただき、
岸ゼミとの共同研究での活用を視野に入れて、MAXHUB「All in One Meeting Board」(以下、ミーティングボードという)の導入を決定しました。

高校2年生の情報1の授業では、1クラス30~40人の生徒が当施設を使っています。
1学期の「新渡戸デザインプロジェクト」では、身の回りのものを誰かのためにデザインするという課題に取り組みました。
レーザーカッターで木板を切り抜いて持ち運びできる寄せ書きを作ったり、ビーズクッションを持ち運べる服を作ったりと、
生徒が興味のあることを軸にしたプロジェクトです。
その授業の際、ミーティングボードは「セカンドモニター」として活用しました。
メインのプロジェクターで授業を進めながら、ミーティングボードには「今日のめあて」や「評価基準」を映し続けることで、生徒が常に確認できる環境を作りました。
また、休んでいた生徒が複数いた際には、ミーティングボードの周りに集まって前回の授業内容を振り返るという使い方も。
別の作業をしている生徒もいる中で、個別フォローの場としてもミーティングボードが活躍しています。

ホワイトボード機能を用いた絵しりとりを行う様子┃生徒同士のコミュニケーションツールとしても活用されていた
ゼミ形式で行う高校生向けの探究学習では、生徒が自分の興味や関心に基づいて探究を進めています。
例えば、ある生徒は建築に関心を持ち、展覧会での視察や街歩きで撮影した画像をもとに、対話を通じて探究を深めていきました。
ミーティングボード導入により、こうした探究学習の進め方が大きく変わりましたね。
生徒がiPadやスマートフォンから即座に写真や資料を投影でき、複数の生徒が共同で学習を進める際、シームレスな情報共有が可能になったのです。
従来は、モニターやプロジェクターへの接続に時間がかかり、流れが中断されることがありました。
しかし、ミーティングボードであれば生徒の端末・OSを問わずに、思いついたアイデアをその場ですぐに大画面で共有できるように。
また、大画面という特性を活かして、細部の視覚情報の共有も容易になりました。
例えば、シーグラスを用いた作品を制作する生徒が、過程を紹介する際に、人工的に製作したシーグラスと自然のものを並べて比較する場面がありました。
こうした細かい視覚情報を、複数の生徒が同時に大画面で見ることで、対話がより深くなり、学びの質が向上していると感じています。
さらに、土曜日の地域開放活動時に、ホワイトボード機能を自由に使用できるよう設置すると、生徒たちが自発的にその日の活動の様子を記録し、
翌週はその隣に新しい記録を書き加えられ、グラフィックレコーディングが自発的に生まれるという予期しない効果も生まれましたね。

スマートフォンから作品の写真を即座に投影

作品制作に用いた工具について質問が出たら、その場で検索し大画面で共有
年間100以上の団体と仕事をしている教員にとって、オンラインでの外部とのミーティングは日常的です。
共同プロジェクト先、土曜日の活動の連携先、他の学校など、様々な方々と繋がる際にミーティングボードを活用しています。
以前は、各々が自身のPCからミーティングに参加していました。
一方、ミーティングボードには大きなディスプレイに広角カメラ、Windows OSが内蔵されています。
そのため1台で参加者全員を映しながら、気軽にオンラインでの外部とのミーティングをできるようになりました。
なにより広角カメラにより、空間を広く映せるようになったため、当施設の空間としての面白さも伝えやすくなりました。
また、ハイブリッド形式の授業にもミーティングボードを活用し始めています。
きっかけは感染症による自宅待機期間で身体は元気な生徒から「授業に参加したい」と申し出があったこと。
WEB会議アプリを用いて手元のPCとミーティングボードで参加し、手元のPCから資料を共有しつつ、
当施設の後方からミーティングボードで授業の様子を映す運用を試みました。
その経験から、「ミーティングボードを施設後方に設置すれば、画面共有の煩雑な切り替えをせずに授業の空気感ごと見せられる」という学びが得られ、
ハイブリッド形式の授業の開催ハードルを下げられました。

学校内での活用も拡大する予定です。
生徒たちが社会とのつながりに備え、実際の外部環境で大人たちと交流するプログラム「スタディツアー」では、
生徒たち自身が選択したプログラムや場所に散在して活動を行います。
将来的には、ミーティングボードを常時接続状態にしておくことで、異なる場所で活動している生徒たちが、
リアルタイムで授業に参加したり、コミュニケーションを取ったりできる環境を目指しています。
このような活用により、「今日は長崎に行きたいので、授業はオンラインで参加したい」という柔軟な学習スタイルが実現し、
生徒たちの自主性や創意工夫をより一層引き出せる探究学習環境が作っていけたらいいですね。
