導入事例

ミーティングボード

2024年12月19日

静岡市上下水道局様

災害発生時における情報共有の効率化を目指して

災害発生時の情報共有の難しさを改善するべく、
遠隔地と相互に情報を追加・集約できれば、
という想いからミーティングボードを導入。
防災用システムとミーティングボードを連携させることで
情報共有の効率化に成功しました。

1 導入前の課題 災害直後の情報共有の難しさ

2022年9月、台風第15号による災害が発生した際、情報共有の難しさをつぶさに感じたことが、
MAXHUB「All in One Meeting Board」(以下、ミーティングボードという)を導入することとなったきっかけです。

静岡市清水区にある興津川の取水口(河川などから水を上水道に導き入れる設備)が被災をして上水が作れなくなり、断水が発生してしまいました。

普段取水口を管理している浄水場の職員が被災現場の情報収集を行い、
その状況を庁舎にいる職員に報告していました。
受けた報告に対して「こういった情報はないか」「このような角度からの写真が撮れないか」と、
庁舎にいる職員が浄水場の職員に多くの質問を投げかけた結果、現場がパンク状態に。
庁舎にいる職員は大人数であるため、職員内で情報共有が十分にできておらず、
一度浄水場の職員が対応した内容の質問が再度届いてしまうという事態が
災害直後の混乱した状況で発生してしまったのです。

そのような場面で、遠隔地と相互に情報を追加・集約できる機器があれば、
何か知りたいことがあった際、機器に表示されている情報を全て確認してから
足りない情報を被災現場に投げかける、という仕組みができ、混乱を避けることができると考えました。

2 ミーティングボードを選んだ決め手 Windows端末との相性の良さ

抱えていた問題を解決するため、遠隔地と連動して記入し合えるような機能が搭載されているだけではなく、
当局でも日常的に使用されているWindows端末と相性のいいツールを探していました。
そこで適した商品がないか、競争入札の結果、条件を満たすミーティングボードが導入となりました。

ミーティングボードはWindows OSが搭載されているため、
タッチディスプレイの大きなPCの様なものです。
そのため、普段業務で使用しているWindows端末と操作方法が大きく変わらず、
通常のインターネット回線で使用でき、活用する職員の心理的なハードルが低いことが魅力的でした。

3 導入後の効果① 防災用システムとの連携による情報共有の効率化

当局の経営企画課では、導入後に実際の災害対応で、市内部でのやり取りの他、
局内での対応状況の情報集約にミーティングボードを活用しています。

ミーティングボードはWindows OSが搭載されているからこそ、
元々PC等のWindows端末で使用していた既存の防災用システムと連携が容易です。
そのため、ミーティングボード上のブラウザにシステム上の情報を大画面に表示して、
効率的に情報共有ができるように
なりました。

防災用システムと連動して使う専用デバイスで撮影した災害現場の様子や、
「この場所でこのような活動をした、このような様子だった」という情報が、
ミーティングボードに表示された地図上にプロットされていきます。
災害発生時にはプロットの数が多くなり、PCだと見にくくなるため、
ミーティングボードの大画面で複数人が同じ画面を見ながら、
当局側で今後の方針等を決定できることがありがたい
ですね。

現在は防災用システムをミーティングボード上のブラウザに表示する形での運用が主です。
しかし、今後はプロットされた災害現場施設の中など、細かい情報をまとめる場面では「ホワイトボード機能」を活用する、
というように使い分けをしていこうと考えています。

  • 実際に防災用システムと連携しているミーティングボード

4 導入後の効果② 被災地域の雰囲気を掴みやすく

2024年9月に発生した能登半島での豪雨災害発生時、被災地域からの要請に基づき
静岡市から応援職員の派遣を行いました。
その際にも防災用システムとミーティングボードを連携させ、
被災地域に派遣した応援職員とのやり取りや行動履歴の参照など、遠隔地からの後方支援に役立てました。

常時、防災用システムとミーティングボードを連携させておくことで、
後続で被災地域に向かう職員は遠隔地からであっても
現場の雰囲気を事前に掴みやすくなり、引継ぎが効率よく行えるように。
現地へ派遣後スムーズに災害対応業務へ当たれるようになりましたね。

5 導入後の効果③ 移動時間の削減

災害対応時だけでなく平常時にどれだけ活用できるかも重要です。
現状当局での平常時の使用方法は、主にWEB会議のシーンです。

市内に水道施設や下水道施設が点在しているのですが、元々は月に1度程度、
各施設で勤務している職員に当局まで来ていただいて、紙の資料を使いながら会議を行っていました。
各施設から当局へは車で30分程度かかってしまうため、WEB会議を用いるようになったのですが
PCの画面だと各施設から提示される資料が見づらく、結局当局に来てもらうということがあったのです。

そこで当局側はミーティングボードでWEB会議に参加することで、
大画面で資料を見ることができ、各施設から当局への移動を減らすことに成功しました。

さらに、管路修繕に関する打ち合わせを行う際、紙の資料を配布するよりも
ミーティングボードに表示した図面などの資料を見ながら話をする方が、
情報共有がしやすく効率的になったという職員の声もありましたね。

ペーパーレス化にも繋がっていますし、
ミーティングボードに表示した資料の上に書き込んだ内容は、簡単に保存・共有ができるので
打ち合わせ後の情報共有も効率的に行えるようになりました。

  • 平常時から活用できるように使い方マップを用意

6 今後の展望 被災地域への長期派遣での活用

応援職員の派遣が長期に渡る場合は、被災地域へミーティングボードを持ち込み、
当局のミーティングボードと連携させることで、災害対応業務に活用したいと考えています。

具体的には、ホワイトボード共有機能でホワイトボードを共通の掲示板のように活用し、
被災地域の情報をリアルタイムに共有できる体制を検討しています。
被災地域側の職員がミーティングボードで情報を整理し、
その情報を基に当局側にいる幹部職級の職員が方針を決めていくようなイメージです。

そういった遠隔地から後方支援を行うことはもちろん、
後続で被災地域に向かう職員が派遣前から密度の濃い情報を得られるようにして、
現地に派遣後、より速やかに災害対応業務に当たれるように備えていきます。