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2025年08月18日
LEDディスプレイ選びでよく耳にする「COB」と「SMD」。中でもCOBは耐久性に優れていると言われますが、その理由やSMDとの違いは分かりづらいこともあります。
この記事では、COBの耐久性の秘密とSMDとの違いを徹底比較し、会議室や受付に最適な、
メンテナンス負荷の少ない製品の選び方を専門知識がない方にも分かりやすく解説します。
まず、LEDディスプレイの基本的な仕組みと、代表的な2つのタイプ「SMD」「COB」について見ていきましょう。
LEDディスプレイとは、その名の通りLED(発光ダイオード)を光源として使用した表示機器です。
ディスプレイ表面に並べられた非常に小さなLED素子が自ら発光することで、映像や情報を表示します。
多くのオフィスで使われている液晶ディスプレイとの大きな違いは、バックライトが不要な点です。
バックライトが不要なため、高輝度・薄型・軽量を実現できます。
さらに、モジュールの組み合わせにより、サイズや形状を自由に調整でき、屋外でも鮮明な映像を映せます。
LEDディスプレイの性能は、LEDチップを基板に取り付ける「実装方式」によって左右されます。
現在主流なのは「SMD」と「COB」の2種類で、それぞれに特徴を表にまとめました。
項目 | COB (Chip On Board) | SMD (Surface Mounted Device) |
---|---|---|
方式の概要 | LEDチップを直接基板に実装し、その上から樹脂で全体をコーティングする比較的新しい方式。 | 赤・緑・青のLEDチップをまとめた「パッケージ」を、基板の表面にはんだ付けする従来方式。 |
メリット |
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デメリット |
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主な用途 | 柱状サイネージなど人が接触する可能性のある場所での利用。 | 屋外広告、スタジアムの大型ビジョンなど、幅広いシーン。 |
「COBは耐久性が高い」と言われるのには、その独特な構造に3つの明確な理由があります。
COBの最大の特徴は、むき出しのLEDチップを基板に直接取り付けて全体を樹脂で固める「封止」構造にあることです。
SMDはLEDチップを1つずつパッケージに入れて基板に配置しますが、COBはチップ全体を基板に直接配置し、樹脂でまとめてコーティングします。
この構造により、衝撃や摩擦、ホコリ、湿気といった外部要因からLEDチップが保護され、故障リスクが大幅に低くなります。
製品によっては高い防塵・防水性(IP65相当)を持つものもあります。
COBの表面は、樹脂によって滑らかでフラットにコーティングされています。
この「一枚板」のような構造が、外部からの物理的なダメージに対する強力なバリアとして機能します。
SMDの場合、素子ごとの凹凸があるため、何かがぶつかった際に素子に直接衝撃が加わりやすく、ドット欠けの原因になるのです。
一方、COBは表面が平坦なため、衝撃を「面」で受け止めて分散させることができ、LED素子そのものを効果的に保護します。
また、この滑らかな表面は、隙間や凹凸がないことからホコリや湿気が内部に入り込むのを防ぎます。
清掃も簡単に行えるため、汚れによる腐食や放熱効率の低下といった、長期的な性能劣化のリスクを低減させることにも繋がります。
LEDは熱に弱く、高温状態が続くと性能が劣化し、寿命が短くなる原因となります。COBは放熱性(熱を逃がす力)においてもSMDより優れています。
COBでは、熱源となるLEDチップが基板に直接接しており、効率よく熱を逃がせるのが特徴です。
その結果、発生した熱が基板に効率よく伝わり、素早く外部に放出されます。
特に高輝度モデルではアルミ製基板の使用により一層放熱性を高めています。
常に熱を効率的に逃がせるということは、LEDチップの温度上昇を抑えて熱による劣化を防ぐということ。
これが、COBの長寿命と安定した運用を支える重要な要素となっているのです。
ここで、情シスご担当者様が最も気になるであろうCOBとSMDの違いを、6つの項目で比較してみましょう。
違い・項目 | COB (Chip On Board) | SMD (Surface Mounted Device) |
---|---|---|
① 画面の構造 | LEDチップを基板に直接実装し、樹脂で一体的に封止 | 個々のLED素子をパッケージ化し、基板に実装 |
② 耐久性 | ◎ 衝撃・防塵・防水性に優れ、高耐久 | △ 衝撃や環境変化にやや弱い |
③ 画質 | ◎ 乱反射が少なく高コントラスト。高精細にできる。 | ○ 近距離ではドット感が出ることがある |
④ 消費電力 | ◎ 効率的な発光で消費電力が低い | ○ COBよりやや高め |
⑤ コスト | △ 製造コストが高め。初期投資が大きい | ◎ 製造コストが低く、導入しやすい |
⑥ 適した利用シーン | 室内高精細表示、会議室、ショールーム、タッチパネル等 | 屋外広告、スタジアム、大型ビジョン、一般用途 |
画面の構造における最大の違いは、LEDチップの実装方法にあります。
SMDでは、赤・緑・青のLEDチップを一つにまとめた「パッケージ」を基板にはんだ付けしていく、従来ながらの構造です。
一方のCOBは、LEDチップをパッケージに入れず、基板上に直接敷き詰めてから樹脂で一体的にコーティングします。
これにより発光面が完全にフラットになり、粒々感のない滑らかな映像を表現できるため、1mm以下の超高精細な表示も可能になるのです。
耐久性では、その構造からCOBに軍配が上がります。
SMDはLED素子やはんだ付けの端子に直接触れることができるため、物理的な衝撃や湿気に対してはデリケートです。
それに対し、COBは表面全体が硬い樹脂でコーティングされています。
この保護層が盾となり、衝撃やホコリ、湿気から内部のデリケートなチップを強力に保護するのが特徴です。
人が誤って触れてしまうような場所でも安心して使える高い信頼性を誇ります。
画質、特に明るい場所での見え方にも差が出ます。
・SMD:表面にある個々のLEDパッケージの凹凸が、照明や外光を乱反射させてしまう
・COB:表面が完全にフラットなため、光の乱反射を極限まで抑制する
SMDの場合、本来黒い部分が白っぽく見え、映像全体のコントラストが低下しがちです。
一方、COBは黒をくっきり表現できるため、明るい会議室でもコントラストの高い映像を保てます。
ランニングコストに直結する消費電力にも違いがあります。
SMDはパッケージ構造を経由して光を放出するため、エネルギー効率の面で若干のロスが生じます。
対してCOBは、LEDチップを基板に直接実装しているため光の取り出し効率が高く、より少ない電力でパワフルに発光させることが可能です。
この差は、ディスプレイを長時間運用する際の電気代として表れ、長期的なコスト削減に貢献します。
コストを比較する際は、初期費用と長期的な費用の両面から見る必要があります。
SMDは製造技術が確立されているため、導入時の初期費用を大幅に抑えられるのが最大の魅力です。
COBは高度な製造プロセスを要するため、製品価格が高めになります。
しかし、その優れた耐久性による長寿命や高いエネルギー効率による電気代の削減のメリットがあります。
初期投資は高めですが、メンテナンス費用などを含めた総保有コスト(TCO)では、
COBが結果的に有利になる可能性を秘めていると言えるでしょう。
参考:https://www.lampro.net/blog/blog/cob-led-screen-for-indoor-advertising.html
参考:https://sostron.com/cost-of-purchasing-installing-and-maintaining-cob-led-displays/
最終的にどちらを選ぶべきかは、利用シーンによって決まります。SMDは、コストパフォーマンスを重視する場合や、
ある程度の距離から見る屋外の大型ビジョンなどに適しています。
ビル壁面の広告のように、広いピッチ(画素の間隔)が必要な用途ではSMDの独壇場です。
一方でCOBは、その高精細・高画質・高耐久という特性から、
役員会議室やショールーム、ロビーなど、近距離で鮮明な映像が求められる屋内の用途で圧倒的な強みを発揮します。
ここまで比較してきた通り、特に屋内で長く安心して使いたい場合には、COBの方が多くの利点があります。
具体的な利用シーンごとに、おすすめの理由を見ていきましょう。
COBは発光面が均一なため、近距離でも文字や図表の輪郭がはっきりと見え、プレゼン資料の共有が非常に快適です。
最小ピッチ0.4mmといった超高精細な表示も可能で、細かいデータやグラフも液晶ディスプレイ並みにクリアに映し出すことができます。
これにより参加者全員がストレスなく情報を把握でき、議論の質と効率の向上に貢献します。
来客が誤って画面に触れる可能性があるショールームや受付では、COBの堅牢性が光ります。
LEDチップが樹脂でしっかり保護されているため、多少の衝撃で故障する心配が少なく、運用の上で大きな安心感があるでしょう。
また、表面が滑らかで清掃しやすく、ホコリや汚れがつきにくいことから、常にクリーンな状態を保ちやすいのも大きな魅力です。
高所などメンテナンスが難しい場所において、故障しにくいCOBの特性は大きなメリットとなります。
約50,000時間とも言われる長寿命に加え、優れた放熱性がLEDの劣化を抑制。消費電力をSMD比で20%以上削減できる点も見逃せません。
その結果、交換の手間やランニングコストを抑え、長期的な視点でのコストパフォーマンスの高さを実現します。
屋内で高耐久かつ高画質なLEDディスプレイをお探しの方には、MAXHUBの「All in One LED V3シリーズ」がおすすめです。
このシリーズでは、従来のSMDタイプに加え、本記事でご紹介した衝撃や汚れに強く、より高精細な映像表現が可能なCOBタイプが新登場しました。
COBタイプはフラットな表面でホコリが付きにくく、低消費電力を実現しているため、会議室や人の往来が多いロビーなどにも安心して設置できます。
さらに、最大120W出力の高性能スピーカーや、PC画面をワンクリックで投影できるワイヤレスドングルが付属し、配線不要でスムーズに会議やプレゼンを始められます。
お手持ちのPCと接続すれば、ディスプレイに繋がったカメラやマイクをWEB会議で利用できるBYOM機能にも対応。
まさに現代の多様なビジネスニーズに対応できる、オールインワン型のLEDディスプレイです。
今回は、COB LEDの耐久性の秘密と、SMDとの違いについて詳しく解説しました。
・COB: 高耐久・高画質・省エネ。初期コストは高いが、会議室や受付など、近距離での利用や長期的な安心感を求めるなら最適。
・SMD: 低コストで導入しやすい。屋外の大型ビジョンや、コストを最優先したい場合に有利。
それぞれのメリット・デメリットを正しく理解して自社の設置場所や用途、予算といった利用シーンに合わせて比較検討することが、
最適なLEDディスプレイ選びのコツとなります。本記事が、貴社の課題解決のお役に立てば幸いです。